アメリカの想像を絶する泥棒 – その4

10月 18, 2012

きのうのお話の続きです。泥棒に入られ、すべての事務処理を終えて、夕飯を食べていた私たち。突然開発リーダーの iPhone が、けたたましく鳴り驚いて見ると、なんと Find My iPhone からのメッセージ
「あんたの iMac はここにあるよー」
っていうものです。

アップル製品には、電源をつければ、現在のマックの場所が解る仕組みがあります。なんとでてきたところは隣町のサニーベールのホテル。

あわてて、911で警察に電話したら、

「あぁ。それ、サンノゼの管轄外なので、隣町の警察に電話してくれるぅ?」

と言われて、あわててかけ直すリーダー。普通、電話を私たちがかけ直すのではなく、すぐに回してくれないか? 結局、2回管轄外ってことでたらい回しされた。

隣町の警察は事情を聞いて、

「じゃ、そのホテルの前でお会いしましょう。」

となった。隣の中国人大家さんにも報告したら

「捕まえてきて!!!」

と異常なまでに盛り上がって見送くられて、あわてて駆けつける私たち。ドキドキしたままホテルの前に到着。3階建ての結構大きなホテルです。このホテルの中にうちの会社の壁を破壊し、私の机をめちゃくちゃにして、iMac、古いコンピューターやキンドルを盗み、Nook を置き去りにし、電源パネルの電気をすべて落とした犯人がいると思うと緊張します。ホテルのフロントの前でドキドキしながら待ちました。初めてのデートの時よりドキドキしたかも。だって自分が見つめているこの3階建ての大きめのホテルの中で、犯人グループは平気で眠り、平気でご飯を食べているのです。ところが警察は、待てど暮らせど来ない。。。リーダーに

「電話をかけないと来ないんじゃないの?」

と言うと、

「警察があおらないと来ないっていうのは、ないんじゃないんでしょうか?むこうはすぐ来るって言ってましたし。」

けど、結局来ない。その間に泥棒が入れた iMac の電源が切れてしまった。たぶん、新しいソフトウェアーのインストールが終了したのでしょう。しょうがないので、サニベル警察に再度電話しました。
電話のむこうからは、ノンびりした警察の人の声が。

「あぁぁ、着いたのぉ?じゃぁ行くわぁー。」

みたいな。まるでお茶する待ち合わせに遅れた感じです。

電話してからやっとやってきた警察。とりあえず、パトカー3台が来ました。さて、いよいよです。

電源がおちても、すでに画像写真をとっているリーダーのおかげで、どうもホテルの西側のあたりにあるのはわかります。警察の人に事情を話すと、さらにいろいろ聞かれました。3 人の警官に囲まれて、なんだかまるで事情聴取です。

「危ないから、車の中で待っていてください。」

といわれました。さて、これから映画

「ダイ・ハード」

のような踏み込みがあって、銃撃戦が始まるのか?と思うと、さらに緊張する私。そんな中でもリーダーは冷静で、

「すみません。すぐに戻ります。ちょっとお手洗いに行ってきます。」

えっー!!私、一人になっちゃうの?と思ったけど、すぐに戻るって言っているし、お手洗いに行きたい人を止める訳にはいかないし。

約束通り、リーダーはすぐに戻って来ました。けど、ほぼ同時に警察たちが歩いて私たちの車にやってきた。手にホテルに泊まっている人のリストのプリントアウトを持ってる。

一人の警察官曰く、

「部屋は 300 室があって、ほとんど満員です。ここに一部屋、一部屋警察がノックして訪ねる事はできません。銃を持っていたら危ないし。部屋を指定してください。」

いやー、それは Find My iPhone では解らないんですが。理系の開発リーダー曰く

「アップルの Find My iPhone は、x 軸、y 軸 (水平方向の座標) の位置は教えてくれますが、z 軸 (垂直方向の座標) は出ないんです。民間用で 3 次元の位置情報が正確にわかるものを独自に埋め込んだ方がいいかもですね。一戸建ての家とか、2~4 ユニットの家とかならまだ特定できたかもしれません。iOS 7 に期待しましょう。」

えっ??リーダー、今から数学のグラフは書かないけど??けど、よくよく聞いてみるとFind My iPhone は平面はわかるけど、高さが出ないということのようです。なので、垂直方向の GPS の測定誤差 (GPS内蔵の端末の場合)、ホテルが 3 階建てで、さらに各階の天井の高さが低いので、部屋の指定はかなり難しい。軍事用のGPS ならもしかして何階にいるかもしかして分かるかも。。。?

泥棒はプロでアップル製品に慣れているかも。ホテルは Wifi をみんなで使ってるので、このホテルの建物の高さと部屋数、混み具合を使えば、部屋指定ができにくい。もしかして、踏み込まれる可能性が恐ろしく低いと理解して、わざとここを使っている模様。どうも泥棒は、すべてを計算して電源をいれて、新しくMac OSをクリーンインストールしたのではないか?

警察の人には、

「あなたのマックって音を立てれる?」

「相手の電源が入っていたら、音はなります。けど、先ほどから電源が切られています。」

「じゃ、残念だけど。。。」

と言われてしまいました。えっえっっ〜!!ホテルに駐車してある車をすべて盗難車じゃないか?とかを調べるのは?なんだか、あやしい車も結構あるけど?と別件逮捕を臭わせた私。それも、

「あぁー。それはフロントでもらった記録が別にあるから。」

だけでうやむやにし、調べようともしない。

じゃ、私たちが自力で1室、1室ノックする、という案もあるのですが、あきらかに相手はプロ。Jack Bauer でもない限り無理!! 壁を壊す重機も持っています。高い確率で、銃も複数持っているでしょう。もし見つけて、

「あっー!!それ、私たちの iMac です。返してください!」

なんて言って指摘したら撃たれる可能性だってあるよねぇ…..。思わずリーダーに

「私、たぶん、iMac 1 台分以上の価値はあると思う。だって、iMac はアップルストアーで売ってるけど、私、売ってないもん…。」

そう言うと、リーダーは、

「いや、ゆみさん、熱弁しなくても、、、、。普通はそうでしょう。これは、どうもできないですよ。」

ということで、あきらめる私たち。

私たちが話していると、警察は次から次へとパトカーに乗り帰って行く。

“Have a good day!”

だって。。。せめて、”Have a BETTER day!” と言ってほしい。

えっー私たちを置いてく訳?まるで鬼界ヶ島に流された俊寛のように、

「待ってよぉー!!」

と言いたくなったけど、調べる気のない警察を引き止めたところで何かしてもらえる訳ではない。映画の中の銃撃戦は所詮映画の中だけのこと。なぜダイ・ハードのはずの私が俊寛に???けど、現実なんてこんな物です。

しょうがいないので、すごすごと帰って来た。すっごく悔しい。大家に事の次第を話すと、

「えっー!ノックしなかったの?私だったら、1室1室ノックしているわ。」

とのこと。中国人女性大家、恐るべしです。銃をも怖れない。どっと疲れて、自社の鍵をあけて、中にはいるとなんと会社のポストに 1 枚の名刺にメモ書きが入っていた!!ここにすごい事が書かれてあった。

(続きは明日)


アメリカの想像を絶する泥棒 – その 5 を読む

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