アメリカの想像を絶する泥棒 – その5 (最終回)

10月 19, 2012

きのうの続きです。泥棒の居場所までつきとめたけど、逮捕にまで至らなかった警察にがっかりし、疲れ果てて帰社した私たちに一枚のメモ書きが。そこに書かれたことは、

「僕はたぶん、犯人を知ってるかも。」

「えっええっ〜〜!!!!」

驚いて、そのメモを隣の大家に見せにいった。名前と住所があるので、すぐに斜め下の会社の人からのメモだと解りました。大家さんは、読んで

「あっ、彼は何かを見ているのね。じゃ、明日話しましょう。」

となりました。えっ?これって内部犯行なの?知らないのは私だけ?と思うと、眠りも浅く。

次の日の朝。

私は渡の学校の関係で、参加できなかったけど、開発リーダーが話を聞きに行ってくれました。私たちのビルには、5社が入っていますが、どの会社もとても古い。30年居ますという会社が半分。新しくても10年とか。どうも私たちだけが2年半しかいない。新参者のようです。なので、話し合いで怪しい人があぶりだされていった。警察からは、うちに来たお客さんと掃除屋さんのことをきかれたと話しました。うちの会社には、私の長年の付き合いの人しか来ていない事や、掃除屋さんにおいては、30年このビルで働いているので、除外という話になった。私もこの掃除屋さんは大好きです。非常によく働いてくれます。

それで、怪しいと思った人の名前や風貌を皆であげていくのだけど、新参ものの私たちは、

「この前、駐車場に居た人で、こういう風貌の人がなんだか長く駐車場に居た。」

とか言うと

「あっ、それ秘書の○○の子供よ。彼は大丈夫。」

など、他の会社の人によって、バンバン身分が割れて行く。なんだか家族の話をしているようだ。みんな誰が週末に何をしていたか?を知っている。

で、私たちの会社にメモをおいてくれたJさんが、

「ゆみたちの会社に泥棒が入った次の日に、セキュリティ会社の名前が入った自動車が来たの知ってる?その中から、白人の女性1人と男性3人が降りて来たんだよ。若い4人組さ。僕はすっかり大家さんがセキュリティ会社を呼んだんだと思ったけど、そんなこと聞いてなかったし。」

大家曰く、

「私、セキュリティ会社なんて頼んでない。いまから防犯カメラの設置を頼もうかとは思っているけど、それも絶対に信頼できる人にしたい。警察もアラームしかけたところで、泥棒は警察が来るまで最低15分はかかるって知ってるから、被害がないということはないので、あまり意味はないかも、って言っていたし。」

と答えていた。

そのセキュリティの会社の名前が入った車自体がなんだか怪しいし、降りてきた4人がもっとあやしかったそうだ。あまり知的な感じはなく、4人とも若くてみんなバックパック(リックサック)背負ってるんだけど、中身が空っぽっぽい。さらに

「トイレを貸してほしい。というので、鍵をあけてあげて貸してあげたんだよねー。そしたら4人全員で同時に女子トイレに入ったんだよ。」

ということ。リーダーは皆に

「ゆみは、犯行前夜の夜11時半に若い女性と男性の英語の音を聞いたと言っていた。そのグループだとゆみの話が一致するね。」

と言って、

「その人たちが怪しい!!」

となりました。犯行前に 5 社の中で誰もこの 4 人組を見た事ある人はいなかったそう。誰も知らない人。すごー。なんとなくだけど、犯人像が出て来た。どういう顔でどういう風貌か、詳細を教えて頂きました。

今後は、おかしい行動をする人がいたりみかけない人がいたら、声をかけたり、すぐにみんなに情報を分ける事を指示されていきます。なんだか、みんな家族みたいだ。リーダーにそれぞれが慰めの言葉や励ましの言葉をかけてくださいました。この話し合いと泥棒に入られた後のこのビルの人たちの対応で、私はすっかりこのビルがお気に入りに。開発リーダ―も同じ気分です。友達の会社では、やとったセキュリティの人が、泥棒として捕まったと言う話も聞きました。さらに他には、掃除屋さんからパスワード(←パスワードをシュレッターをかけずに平気でゴミは箱に捨てた)を盗まれたという話も聞きました。

そんなことから、ここのオフィスビルは、みんな仲良しなんだなー。だから 30 年間、泥棒が入らなかったんだなーと思いました。

内部犯行だと疑がった私がバカでした。ごめんね。皆さん。

ということで、私たちはここにいることに決定。保険屋さんもすばらしくいい方を前に紹介してもらっていたので、この方の対応も非常に早く、助かりました。
なんだか、ひどい目にあいましたが、ビルの人たちの暖かい対応に癒された私たちです。さて、これからもがんばって社会に貢献していきます。取られたマックは保険でカバーしそうです。

この泥棒の件以来、皆さんにお声をかけて頂き、開発リーダーの新しいマックの購入に関しては、相談に乗ってくれる人が出て来たり。ネットでも皆さんからはげましていただいたり、メールやTwitterでもお声をかけて頂いたり。リーダーと私たちは元気一杯。

「今回の件は、とても悲しい事だったけど、おかげでいい人たちに会えたし、すばらしい人たちに励ましてもらって、力も頂けた。私たちは、すごく恵まれているね。」

ということになりました。未熟な私たちが皆さんにお返しするすべもなく。けど、私たちが一生懸命仕事することが、たぶん一番の恩返しだろうと思いつつ….。皆様、本当にありがとうございます!

さて、これらシリーズの最後にシリコンバレーに住む人たちやアメリカに住む人たちへ。私たちが警察や保険会社から聞いた最近の泥棒事情と気をつけるべき事(上記と重なる部分もありますが、まとめです。)を下記にあげます。ご参考までに。

  1. 会社に入る泥棒は3種類。掃除の人、雇ったセキュリティーの人。訪問者が、ほとんどを占めるそうです。これらの人が絡んでいるそう。掃除の人やセキュリティの人が誰かわからない、という会社は要注意。大事なものは会社には置かない事。残業でお手洗いに行くときなども注意です。
  2. シリコンバレーで最近異常な勢いで増加しているのは、車上荒らし。クパティーノ近辺では、日本人出張者が車の中にパスポートやコンピュータや現金を置いて日本食レストランに入ったり、買い物に行くのでそれは要注意。日本人がスーツをきたり女性であれば、綺麗な格好をして日本食屋に入るのは、背中に「PCやパスポート。現金を車に置いてます」と書いてあるような物。被害の中にはトランクのドアを重機で穴をあけて、手をいれてトランクをあけて、すべて取られたケースもあるそうです。
  3. 会社の窓や入り口などから外部に対して、コンピューターや高価な物などのかけらでも見えないように配慮する。
  4. 常日頃から周りの会社の人とはよくコミュニケーションをよく取る事。
  5. アラームをつけたら安心というのは間違い。アラームがなっても警察来るまでの間は最低15分あります。15分あれば、泥棒は多くものを盗めます。常日頃から上記のような注意が大事だそうです。
  6. 外から見える部分で壊れてる部分は早急に修理する。まちがっても24時間ほっておかない。ニューヨークの割れ窓の理論を肝に銘じる。
  7. データのバックアップは、ビジネスの大きさに関わらず、場所を分散させて多重に確保するのが大事。

皆様の参考になればと思います。今日もシリコンバレーはいい天気です。さて、さっぱり気持ちを入れた換えて、皆様のおかげで幸せな気分で私たちは仕事に向かいます。

皆さん、本当にありがとう!これからもVoice4uともども私たちをよろしくお願いします!


アメリカの想像を絶する泥棒 – その 1 から読む

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