これは、自閉症で聴覚が敏感な人が多いところに起因しています。高い綺麗な女性の声だと使う方が心地がいいのですが、実は自閉症の聴覚過敏の子どもたちには、この声は苦手とします。ここで、オージオロジスト(日本でいう聴覚の先生になるのでしょうか?正確には、医師ではないのですが、先生のような扱いになります。)に登場頂きました。
自閉症が苦手とする周波数を持たない声の人を選び抜きます。高い綺麗な声は、引っかかるところがあります。低い男の人の声は、聞き取りにくい部分がでてきます。その両者でもない声を持っている人をたくさんの候補の中から選びだします。
これは結構大変な作業でした。音域や周波数が合格でも、女性特有の語尾が抜けてしまう音を出す人もだめです。最後のぬけてしまうような、かすんだ音は苦手な自閉症が多いのです。やっとの思いで見つけたものの録音時は、みんなで静かにせねばなりません。スタジオを借りるのがいいのでしょうが、そんなお金を使ってしまってV oice4u の値段があがるのは、私にとっては許せないことでした。音の専門家達にスタジオがなくても、部屋で綺麗に取れる取り方を教えていただきました。準備は大変でした。それを見ていた渡は静かしないないといけない、ということを理解しているので、録音中に
「しー」
とか大きな声でみんなに言ってしまいます。
「みんなはすでに静かにしてるんだよっ!」
みんなも渡のこの指導に、声を殺して笑ってしまいます。
録音が終わったら、あとは気が遠くなるような音声編集作業があります。機械音声を使えば、こんなことはしなくてよくて、簡単に終わることなのです。けど、私としては、ほとんどの子供が最初にもつであろう、iPod Touch や iPhone から、最初に聞くのが機械の音声っていうのは、あまり心地よくないのでは?というのがありました。私が子供だったとしたら, ずーっと機械音声を聞くのは辛いだろうなと思いました。それに、抵抗なく iPod Touch や iPhone を受け入れてもらう為には、ここはどうしてもしっかりと通過したい難所です。
雑音が入ってないか?チェックをしながら、音声を丁度いい長さに合せてゆきます。開発部門の技術の方たちは、何十時間あの声を聞いたでしょうか?
何日も何日も朝から晩まで音のチェックです。
ついに開発部門の人から
「あのーーー。きのうの夜、寝ようとしたんですが、声が良く通るせいか、耳に声が張り付いてしまって、寝る前に気がついたら自分も Voice4u に入っている単語をしゃべってるんですよね。」
ここまで聞き取りやすかったんだ・・・。と、うれしかったものの、開発の方たちは、すでに言語は話せる訳ですから、耳につくいい音を聞き続けるというのは、大変だったかもしれません。私たちも何度も Voice4u の単語を日常的に口ずさんでおりました。快適だったんだと思います。
こんな音ですので、お話が苦手お子さんの耳にでも、少しでも音が残る可能性は、普通の声や機械の音よりはあると思います。さて次回は心臓部分の開発の話になります。
0コメント